iPhoneで作るバリアフリーマップ
このプロジェクトは、測量や計測の知識や技術を知らない経済学部生でも手軽に
バリア情報を3D化し、バリアフリーマップを作成することを目的としています。
具体的には、iPhoneのLiDAR機能を用いてバリア情報の3D化を実施し、
運用コストをかけずにデータの取得から公開(オープンデータ)までを行いました。
取得したバリア情報は点群データ(las形式)として、誰でも自由にダウンロードすることができます。
アーバンデータチャレンジ2022 銀賞受賞
2023年3月11日に東京大学駒場キャンパスで実施されたアーバンデータチャレンジ2023 with 土木学会インフラデータチャレンジ 2023 ファイナルで銀賞を受賞することができました。ありがとうございました。
iPhone LiDARの特徴
dToF(direct Time of Flight)を採用
レーザ光が反射して戻るまでの時間を計測し,対象物との距離を計算する方式
メリット:屋外利用,長距離計測(iPhoneは5mまで)
デメリット:高解像度取得,小型化センサ
対応機種:iPhone 12 pro,iPad pro 以降
精度検証
階段を使ってメジャーとiPhone LiDARの精度を確認。
その結果、メジャーでは9.3cm、iPhoneは9.2cmとほぼ一緒であり、非常に精度が高いことがわかった。
着目した道路のバリア情報
歩車道境界部
歩車道境界部の段差の標準:2cm
→ この2cmは、道路と歩道の間に段差がないと視覚障害者は境目がわからず困惑してしまうためある程度の段差が必要となっています。
データ取得方法
データの取得・解析などは
すべてフリーソフトを使用
iPhoneアプリ「3D scanner APP」で3Dデータを取得
Cloud Compareで点群データの編集・変換
→ 必要のない箇所やノイズを削除
QGISで段差の解析
→ 段差の高さや断面図を作成
1つの交差点の作業時間は約5分
計測結果
左側の図:Cloud Compareで表示した交差点の点群データ 中央の図:QGISで交差点の段差を地図化 右側の図:交差点の段差の断面図
この交差点の段差は断面図の最高点と最低点を用いて計算すると、2cmの段差があることがあることがわかりました。
このようにQGISで解析すると、段差をより分かりやすく可視化することができます。
バリアフリーマップ
東京都千代田区内の
白山通り(皇居~水道橋)
対象道路:白山通り(上り・下り)
計測場所:交差点 100箇所
バス停 9箇所
駅出入口9箇所
歩道橋2箇所
計測時間:1箇所あたり約1分
水道橋周辺の計測結果
水道橋周辺の交差点境界部の段差
→ 段差の標準である2cmの交差点が多い
結果となりました。
計測結果
今回計測した白山通り(千代田区内)
の交差点境界部の段差:平均2.7cm
段差の標準である2cmに近い結果となりました。つまり、白山通りはバリアフリー化の整備が進んでいることがわかりました。
しかし、人通りの少ない路地裏に入ると2cm以上の段差(約10cm)があるところも見つかりました。
iPhoneで作るバリアフリーマップの説明資料(PDF)
詳細はこちらiPhoneで作るバリアフリーマップの説明資料(Youtube)